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皮膚病の猫のためのキャットフード

猫の皮膚病は、体の内外の様々な環境要因によって引き起こされます。室内飼育の猫と室内外を自由に出入り出来る猫とでは、皮膚病の発症率に大きな差が認められます。
すなわち室内外を自由に出入りしている猫は、常にダニ類の外部寄生虫、消化管内部寄生虫や伝染病等からの侵略の恐れを抱えており、また実際、皮膚病にかかっているケースにしばしば遭遇します。米国では、小動物診療の15~25%が皮膚と被毛の疾患を持っているという報告があります。
ここでは室内飼育の猫に限定して皮膚の栄養面を中心に話を進めていきます。

1.猫の皮膚構造

猫の皮膚は、表皮と真皮に分かれており、その下に分厚い皮下組織があります。
(1)表皮
表皮は、新生されてから剥がれ落ちるのに約20~25日を要します。
表皮の最外層は、角質(死んだ表皮細胞)が何層も重なり合っています。
表皮は、ケラチンに富み、ビタミンAによって分化速度が調整されています。 角質と角質の間は、セラミド(脂質の一種)で繋がれています。

(2)真皮
真皮は、コラーゲンやエラスチン等の繊維が複雑に絡み合う弾性構造体で、繊維間をヒアルロン酸等のグリコサミノグリカン(細胞外基質)が占めています。ヒアルロン酸は水分保持能力に優れています。
コラーゲンやエラスチンの合成にはビタミンCが関与しています。
繊維や基質は、繊維芽細胞によって産生されます。

(3)皮下組織
皮下組織は、脂肪細胞を蓄え、体温を保持したり、物理的圧力から体を守っています。この脂肪細胞は、必須脂肪酸の供給源として、皮膚のエネルギー源となっています。


2.猫の皮膚の特徴

(1)全身を密生した毛に覆われている
(2)表皮の厚さは、ヒトに比べてはるかに薄い
(3)皮膚の表面のpHは、ヒトが弱酸性に対して猫は弱アルカリ性を示す
(4)毛の根元にある毛包の周りの筋肉はよく発達しており、驚愕した折、あるいは攻撃をしようとするときに首や背中の毛が逆立つ


3.猫の皮膚の働き

(1)表皮は体内への毒物や微生物の侵入を防ぐ防御層の役割を担う
(2)表皮は体からの水分やミネラル類の喪失を防ぐ調節を行う
(3)真皮には弾力性を持ったコラーゲン繊維があり、外からの力を和らげる役割を担っている
(4)汗腺が発達していないため、汗をかきづらい代わりに激しく呼吸し、呼気と涎で熱を放散している
(5)暑さ、寒さ、痛み、触覚、痒み及び圧力を知覚する


4.皮膚に影響を与える外的要因

(1)大気の汚染
(2)人工照明
(3)ストレス
(4)環境の恒常性
(5)栄養障害
(6)薬物の過剰投与
(7)外部寄生虫
(8)食事アレルギー
等があげられます。


5.栄養に関係した皮膚疾患の危険因子

(1)遺伝形質
犬では、多くの好発品種の報告がありますが、猫では、あまり多くの報告はされていません。アビシニアン猫の毛幹障害、ペルシャ猫とヒマラヤン猫の特発性顔面皮膚炎、コーニッシュレックスやデボン・レックスの先天性貧毛症、ドメスティックキャットのエーレルス・ダンロー症候群等の報告が散見されます。


(2)ライフステージ
成長期、妊娠期、授乳期、疾患時といった栄養要求量が最も高い時期に栄養素の欠乏を起こしやすい。

(3)フードタイプ
脂肪分及び消化率が低く、ミネラル類の含有量が高い粗悪なフード、偏った栄養素配合の手作り食

(4)食品添加物
サプリメントの過剰な添加・摂取による過剰な摂取による栄養バランスの崩れ


6.皮膚病予防のための栄養管理

(1)給与されるフードは、タンパク質、必須脂肪酸(EFA)、亜鉛、銅、ビタミンA・E、これらの栄養素を最適なレベルで含み、猫に利用可能なものでなければなりません。
一般的な市販の総合栄養食のライフステージに沿った給与では、まず栄養の偏りはないものと言えます。
理想的なレベルの栄養素成分は、
1)成猫の維持期の理想的な栄養素成分(全栄養素を乾物量で換算)
タンパク質30~45%、脂肪15~25%、亜鉛50~150mg/kg、銅15~30mg/kg、総EFA1.5%以上、乾物量消化率(給与時)80%以上

2)成長期並びに授乳期の理想的な栄養素成分(全栄養素を乾物量で換算)
タンパク質35~50%、脂肪20~35%、亜鉛50~150mg/kg、銅15~30mg/kg、総EFA1.5%以上、乾物量消化率(給与時)80%以上
といわれています。

(2)成長期、妊娠期、授乳期、疾患時といった栄養要求量が最も高い時期に消化性と吸収性の高いフードに留意しなければなりません。
市販の悪質な安いフードは避けることです。また不用意に維持期の食事は与えないようにしてください。

(3)ミネラルサプリメント(ビタミンA、E)を過剰に用いないようにしてください。亜鉛や銅の吸収を妨げます。


7.炎症性皮膚疾患の猫の食事管理

(1)皮膚炎の猫にとって、食事性脂肪酸摂取の変更は有益です。すなわちω-3脂肪酸摂取量の増加、あるいはω-3脂肪酸とɤ-リノレン酸(ω-6脂肪酸)の両方の摂取量の増加です。
市販の療法食には、これらの処方を謳ったメーカーのフードもみられます。

(2)亜鉛、マグネシウム、ビオチン、ピリドキシン、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンC等の栄養素は市販の総合栄養食に適度な濃度で含有しています。また療法食にもこれらの栄養素を謳ったフードがみられます。
日本では、「療法食ガイドライン(栄養特性に関する基準が定められた療法食リスト)」の皮膚疾患の項にで、『必須脂肪酸を増強』と規定されており、それを守った療法食が市場に流通しています。
また日本獣医師会「療法食の適正使用のための食事療法ガイダンス」の中の皮膚疾患の項でも、療法食の特性として、『感染症やアレルギーなど様々な原因で起こる炎症性皮膚疾患に対応するため、脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどの栄養成分が調整されています。』と述べられています。